2006/09/09
前回の続きでフィラリア予防のお話です。
今現在処方されているフィラリアの予防薬は、一ヶ月に一回経口投与するタイプがほとんどだと思います。
薬効成分としては、イベルメクチン、ミルベマイシンオキシム、モキシデクチンの三種類が広く用いられています。
それぞれに少しづつ特徴に差がありますが、どれを用いてもきちんと投与すればほぼ完璧にフィラリアに感染することはありません。
これらの薬の共通の特徴として言えることは、予防薬と呼ばれていますがフィラリアに対する免疫を作ったり、体に侵入するのを防ぐ成分をまとわせたりするものではありません。
単純に体内に侵入した幼虫に対する駆除薬(殺虫薬)であるというのがその正体です。
ただし全ての種類の幼虫を殺せるわけではありません。
前回お話した中の第三期幼虫と第四期幼虫のみを殺すことができ、第五期幼虫にまで成長したら殺せなくなります。
ちなみに一昔前は第四期幼虫のみを殺せるというのが定説であったと記憶していますが、今は第三期と第四期というのが文献上のスタンダードなようです。
また確実に殺せるのは第四期で、第三期に対してはやや弱いとの話も聞いた事があり、ネット上でもまだばらつきがあるように見受けられます。
全ての説を集約しても確実にいえることは第五期幼虫になってしまうと殺せなくなるので、体内に侵入した第四期幼虫を一月に一回の定期的な投薬で確実に殺すことが必要ということです。
またこの点も誤解が多い所なのですが、予防薬の成分が体内にあって効果を発揮しているのは数日で割と短期間です。一ヶ月間ずっと効いている訳ではありません。
第四期幼虫でいる期間が一ヶ月少々ありますので、その間に確実に一回は投薬し、全ての第四期幼虫を殺滅することで確実な予防が成り立っているのです。
投薬期間が蚊(感染力のある)が出始めて一ヵ月後から、蚊がいなくなって一ヶ月後までと言われる訳が、上記の理由に少々の期間的余裕を持たせた結果であることがご理解いただけたと思います。
油断せずにきちんとお薬を投与するようにしましょう。