2005/04/09
獣医さんの一般的なイメージとはどの様なものでしょうか。
「動物に優しくてどんな動物であっても体当たりで治療していく情熱家」
私が子供のころ持っていたイメージです。
少し大げさな感じもしますが良い獣医さんとはこんな感じだと今でも思います。
しかし獣医であっても動物に咬まれるのは怖いです。
プロ意識を持ってからは仕事が続けられなくなるという意味で怖いです。
また扱いなれない野生動物などは単純に怖いです。
こんな事がありました。
私は趣味で磯釣りをするのですが、あるとき大物がかかりました。
海の中を深みへ、右へ、左へとすごい力で引いていきます。
大物は取り込むときに玉網ですくわなければなりません。
玉網の位置を確認するため一瞬目を離したところ、それまで下へ下へと引いていたのが急に上に引っ張られた気がしました。
視線を戻すと針をくわえて飛んでいるのは海鳥(種類は分かりません)ではありませんか。
さっきまでの魚は?かかっていた魚を鳥が食べた?それとも最初から鳥だった?海面から5~6mは下にあるはずの小さなエサ(オキアミというエビみたいなエサ)を鳥が食べたりすることがあるのか?
周りを見ても下へ竿を引っ張られている人はいても、空へ?上へ引っ張られているのは私だけです。
しかも鳥は声を出して大騒ぎです。私もパニック、その上ちょっと恥ずかしい。
何とか鳥を足元の岩まで引き寄せました。
近くに来ると思ったよりでかい。しかもこちらをにらんで威嚇しています。
こっ、怖い。
わざとじゃないぞ。こっちだって迷惑だ。
糸を切ってしまえば楽になれるぞ。肩の辺で悪魔がささやきます。
しかし針がついたままでは鳥がかわいそう。天使もささやきます。
自分は獣医じゃないか。最後は自分のプライド?がささやきました。
私は意を決して鳥の頭をつかみました。
んっ?つかんでしまえば学生時代につつかれたニワトリよりおとなしいぞ?
無事ペンチでクチバシにかかったハリを外し、出血もなく、鳥は元気に飛んでいきました。
いや、しかし、怖かった。もう二度と鳥は釣りたくありません。